2012年12月7日金曜日

Reality will bite you

「オオカミが来たぞー!」
村人は一斉に逃げます、「やべー」って
それを見て、最初に叫んだ子が笑い転げます。
その子は図に乗って、何回かそれを繰り返しました。
その都度、村人は「ぎゃー」って逃げ惑う。
それがおかしくてしょうがない。
ほんとバカだな、って笑い転げる。「オオカミなんていやしないんだ」
そして本当にオオカミがやってきました。
その子はぱっくり、上半身から下半身に向かってぐちゃぐちゃと弄ばれるように
オオカミに食いつかれます。
それを見て村人は笑います。笑い転げて、その子の苦しむ姿を指を指して。
「Reality Bite」、弄ぶなら覚悟しておけ。


はい皆さん、お元気ですか?


何かが変わる瞬間、それを時に人は奇跡って呼びます。そんな瞬間を目の当たりにするために実のところ、みんな試行錯誤。こうすれば奇跡が見れるかも、あそこに行けば奇跡に出会えるかも、あの人に会えば奇跡をくれるかも。そんな誘惑がこの世界に渦巻いていて、どんな現実的な人でさえどこかで期待している。諦めたふりして腹の底で、じめじめ思いを馳せている。そうなの?って、何の話し?って思いますよね。僕は奇跡を信じてません、前に言ったけど運命ってやつも、何もかも自分で決めることだ、って何か頑固に、思ってるんです。確かに偶然はあるんです、たまたま何かがうまくいくときや、何か突然思いついたりすることはあります。でも、それ以上にめちゃくちゃ色んな決断している。
そうだから、ここにきて感じたすべては、僕が選んできた道の道程なんだと思っているんです。だからとても愛おしい。選んだものだから、とても愛おしいんです。
ってなんだこれ?って、思った?ごめん、なんかそんな気分なんだわ。許して。



今日はここにきて、このジョグジャの歴史を聞くべくしてMr' Agungに話しを聞きに行くことにしました。彼は言うまでもなく、Kedai Kebunのオーナーにして、ここジョグジャを代表するアーティストであって、僕がここに来る途中の飛行機の機内誌で見た有名人であります。ただここまでいろいろ場面でお目にかかっていて、ってそんな丁重な説明を嫌がるだろうとても気さくな方です。そして若いアーティストに支援をする、ジョグジャのお父さん的な人です。がゆえに、いろいろなシーンを見てきているとのことで、その話しを伺おうということです。


僕がまず聞いたのは、ここ最近の若いアーティストのことです。当初から僕も言ってますが、とてもストリートアートに傾倒している、しかもロス的な感じ。彼はそれをJUXTAPOZの影響と言います。僕も詳しくなくてすいませんが、ストリートマガジンであるJUXTAPOZをみんな呼んでいて、それの真似なりそれにかなり傾倒しているとのことで総称してJUXTAPOZイズムって彼は言います。それゆえに、表面的なビジュアルだけなぞって、それに留まっている。そしてそういったものをマーケットも買っている。その甘い蜜に群がっているのだということです。ただ一方で、このジョグジャに溢れるストリートにあるグラフィティはまったく違うとのことです、いわゆる本当の意味でのストリートアーティストはギャラリーに所属せずに或いはアートに帰属しないで本来のグラフィティをやっている。だからもっと刺激的だし、アーティスティックでもあります。この2つはぜんぜん違うところから出てきているため、クオリティも違います。
どちらかと言えば、若いアーティストたちの方がとても脆弱なものになっているとの視点です。
基本的にここジョグジャは重複しますがマーケットがアートムーブメントの鍵を握っています。だからマーケット、コマーシャルギャラリーに乗って作品を売ることが当然の成り行きなんですが、Agungさん(アグーンさん)の若い時代も当然、そういった状況は一緒でした、だけどコマーシャルに従属すると平行して、政治的なストレスも大変あった時代なので、もしコマーシャルでうけなくても、政治的なカウンターとして制作をすることができたと言います。つまり、様々なモチベーションで作品を作ることができたということです。それが、今ではそういったストレスがなくなり、アーティストは自由にコマーシャルにのっかることを考えるだけになり、こういった脆弱な状態になっていると言います。

ただこれはエコさん(Eko Nugroho)も言ってたことですが、未来は分からない、この世代がまた変化して何かを生み出すかもしれないし、またこの世代をうけた下の世代が何かを生み出すかもしれない。とのことです。
あと「ここジョグジャに美術館は必要ですか?」って聞いたら「いらないんじゃない」って言われました、マーケットの波がとてもシリアスだし、それをどう捉えるかによって時にアーティストは現実を目の当たりにするから、それでいいんじゃないかって言ってました。「Reality will bite」ってわけです。それにシンガポールの美術館がインドネシアのアートをコレクトしているから、俺らの美術館はシンガポールにあるんだよって、ケラケラ笑って言います。

まだまだ、いろいろ話しを聞いてたんですけど、アグーンさんがんがん喋ってくれるんですよ、それで頭がぐるぐる、まとまりゃしないっての、だって僕、バカなんですもの。ただこんな若造に本当に親切だなと思います、そもそも彼の世代はいろいろな選択肢があった、政治的なアート、コマーシャルアート、オルタナアート、その中で彼が選んだのはオルタナアート、自分でスペースを立ち上げ、それで発表していく。そんな人だから、尚更アートの酸いも甘いも知って、意識的に若い人に働きかけているのだなと思いました。

また君の頭がまとまったら話しにおいで、って言われました。




そんなわけで、1ヶ月の短期でどこまで辿り着けるか分かりませんが、とても貴重な話しを聞けました。




そのあとは、タリパディっていうアーティストコミュニティがあるんですが、彼らがなんか教育に関するイベントに参加しているとのことで、やべぇ空気を感じ取っていってみました。そしたら、なんか閑静な住宅街で、和気あいあいとやってる地元色たっぷりのイベントでした。なんか自由学校なるもの?が開校するための記念式典で、お金がなくても行ける学校とのことです。で、なんかここにきてようやく影絵劇が見れることとなりました。だけど、伝統的なやつじゃなくて、現代風にアレンジされたやつ。
それで劇が始まったら、みんな爆笑、げらげら笑ってんの。ただ小ちゃい紙のおじさんがちょっとぺちゃくちゃ喋って動くだけで、どっかんどっかん!言葉の分からない僕や一緒にきたオーストラリアの人はポカーン。でも何かすっごいみんな笑うから、もうしょうがねーや、って気分で僕も笑ってやりました。若干、苦笑気味にね!



そんなわけで、今日はここまで。
ただここジョグジャの空気は本当に様々で、ちょっと夜バイクで田舎道を走っていると、本当にここが愛おしく感じれます。あんな静かで嫌みのない夜はそんなにないと思う。
暗い?知ったこっちゃねー、僕は夜が好きなんです。




ではでは地球の皆さん、おやすみなさい。



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